私は、両親の介護目的で成年後見人の申立をしました。
ですが、もし、父親が銀行のキャッシュカードを持っていたら申立をしなかったでしょう。
日常的な簡単な世話であれば、キャッシュカードがあればできたと思います。
成年後見制度の申立で親との関係を見直せた
しかし、父親が倒れたことで成年後見人にならなければ、両親の世話をすることができなくなり、
自分自身かなり切迫した状況に追い込まれました。
そして、申立をしていなかったら、両親の財産の状況もわからないままであったろうし、
介護について調べることもなかったと思います。
そういった意味では、この制度を通して図らずも自分と親との関係を見直すことができました。
成年後見制度の申立をして審判がおりるまでは、両親のことを考えると不安だけがつのりました。
介護費用の心配はもちろんのこと、認知症の両親とこれからどう接していけばいいのか、
それまで両親とずっと離れて暮らしていたので、両親のことを真剣に考えたことがありませんでした。
年老いた両親に苦しい思いや嫌な思いはさせたくない
そうは、思ってはみるものの、
施設に入居してもらうにも、費用以外にも入居条件が厳しかったり、
東京にいる私が、田舎の介護施設の実態や親の財産状況を調べるのはとても難しいことでした。
両親のことを思って様々な手続きをしたくても、財産にからむものは何もできません。
一人っ子なんだから、親の介護なんだし、どうして許可してくれないんだ、と何度も思いました。
成年後見制度に思うこと
私は四親等の親族も少なく、親の財産もさほど多くなかったので書類の作成など
難しくなかったかもしれません。ただ住宅ローンがあることが悪いことのように
言われたり、収支予定の作成などでは書記官とかなりやりあってしまいました。
法定後見人の申立から審判をうけるまでに疑問に思ったことや、
もっと合理的にできるのでは、と思ったことを並べてみます。
但し、あくまでも自分が経験した介護目的の場合についてです。
1.成年後見人制度のパンフレットは金融機関に常設してほしい
①預金を引き出すにために成年後見人の申立が必要になる場合が多いと思うので、
各金融機関に成年後見人制度のパンフレットを置くことでこの制度の理解が広がる。
②後見人や保佐人になって、預金者の代理人設定をしてもらいたいときに
金融機関ごとに対応が異なることもなくなる。
代理人設定がゆうちょ銀行はすぐにできたが、地銀で保佐人の代理権をどう扱えばいいのか
明確になっておらず多くの時間を要しました。対応がスムーズではなく、措置にとまどっていた。
2.申立書類の様式は全国一律にして、どこの裁判所でも記入に関する質問は受け付けてほしい
両親と離れて暮らしているときに、帰省して記述方法を確認するのは仕事を休んだり、
交通費や通信費がかさんだり、不便なことが多い。様式が一律であれば合理的になる。
3.認知症判定の費用の軽減をしてほしい
認知症の判定に15万~20万というのは高すぎる。
再申請することも考えれば、2~3万円程度にしてもらいたい。
4.監督人の役割と報酬基準を明確にしてほしい
監督人の役割と報酬基準については、しっかりとした説明がなかった。監督人からも具体的な
説明は何もなかった。
私が法定後見人の申立をしたときは、
家庭裁判所も各金融機関も事務手続きがこなれていないと思いました。
判断力の乏しくなった本人の財産を、犯罪から守る必要があります、という説明ばかりで、
善意の申立人の要望をかなえるために、何が必要か、あるいは運用がどうあるべきか、
それらを申立人に寄り添って考えてくれるような書記官はいませんでした。
母親のように財産が少ない場合は審査はスルーで、父親の預金のように多少なりとも
まとまった財産があるときには、どう判断をすればよいのか判断基準がないように思いました。
へたに後見人や保佐人として認めるよりも、
なるべく制約をかけることで認定する側のリスクを回避しているのではと思えてなりませんでした。
善意の申立人の要望をもとに、制度の改善を願う
今後この制度の申立をする人は増えると思います。
善意でこの制度を利用したい人にとって、この制度がよりよい制度になるように、
3者(家庭裁判所、金融機関、申立人)の立場は違いますが、家庭裁判所と金融機関は
申立人の要望に耳を傾けて協議を重ねることが大切だと思います。
善意の申立人が振り回されたり、不快な気持ちにならないように、
この制度の理念に基づいて利用者からの意見・要望を取り入れて改善してほしいと願っています。
2018年6月3日
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